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準備と言えば、シーズン前から彼のそれは始まっていた。そう、外野への挑戦である。昨季終盤の取材で、彼はこう漏らしていた。「とにかく試合に出たい。試合に出られるのなら、外野だってやりますよ!」出場機会を得るための決意の表れだった。そんな彼は、キャンプに向けて外野用のグラブを用意。慣れないポジションで必死にノックを受ける姿が印象的だった。「外野の経験はほとんどありませんでした。それでも、センターからの景色は新鮮に映って楽しんでいます。ミスもまだまだありますが、そこはしっかりと切り替えて、攻撃面と守備面両方で取り返してやるという気持ちを持って・・・」と、初めてのポジションでも彼は前を向く。
さて、話を元に戻そう。ファームで汗を流す福田に、“その時”は訪れた。開幕から38試合。そこまで、負け越し3(14勝17敗3分)と波に乗り切れないチーム状況の中、背番号4は一軍からコールアップを受けた。そこからの彼のリードオフマンとしての活躍ぶりは周知のとおりで、チームは交流戦での頂点に立ち、11連勝という力強いモメンタムを生み出した。ここ数年の課題であった“1番固定”が叶うことによって、チームの得点力は大きく向上。その最大の要因のひとつが、リードオフマン、福田周平の存在と言っていい。
では、チームの核弾頭として好調を維持できている要因について、福田本人はどう分析しているのか。「自分の中で決めていることがしっかりできつつあるということでしょうか。その決め事とは、打席でボールを打つ際に、余計な動きはしない、ということです。強い打球にしたい、遠くへ飛ばしたいという思いは、僕にとっての余分な動きを誘発します。そこをしっかり我慢して、不必要な動きを排除する。その中で自分のポイントでボールを捉えようとする意識です。100%ではないにしても、そこを目指しながら、出来てきているという実感はあります」ともすれば、プロの感覚は素人には理解し難いものである。ただ、彼の打撃スタイルにはひとつの“芯”が通っていて、それが福田流打撃理論の根底の中にひとつであることは想像するに難くない。
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