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サウスカロライナ州グリーンビルにある“シューレス”・ジョー・ジャクソンの墓
MLBの「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が終わった。ホワイトソックスとヤンキースが合見えたこの試合の内容は、やたらホームランと三振が多いというイマドキのMLBゲームの典型だったが、トウモロコシ畑に本塁打がポンポン飛び込むのは、現場に居合わせた約8000人の幸運なファンには堪らなかっただろう。もちろん、最終回に双方が逆転するという展開はスリル満点だった。
この試合で感心したのが、まずは演出だ。1989年の映画「フィールド・オブ・ドリームス」へのトリビュートが溢れていた。主人公のレイ・キンセラ役のケビン・コスナーが、トウモロコシ畑から映画の中での“シューレス”・ジョー・ジャクソンら選手の亡霊のように姿を現す。そして、両軍の選手もだ。もうこの場面だけで、胸に熱いものが込み上げてきた。試合開始後、陽が沈む頃の美しい夕闇も幻想的だった。ファウルエリアの芝生上や投手プレート後部のダート部分に、MLBが昨季から導入した広告がないのも良かった。手動スコアボードもノスタルジーに溢れていたと思う。
一方で、チト残念なこともあった。まずは、両軍の復刻ユニフォームだ。MLBは昨季からナイキと10年10億ドルのユニフォーム提供契約を結んでおり、右胸にナイキのロゴであるスウッシュが入るようになった。それは今回のようなスローバック(復刻)ユニフォーム企画においても同様なのだ。普段のレギュラージャージなら「まあ、これも時代の流れか」と受け入れてきたが、復刻企画の場合は興醒めを超えて、バチ当たりに思えてしまう。
また現場には、コスナーとともに、映画で親子のキャッチボールという感動的なエンディングシーンを演じたレイの父親ジョン・キンセラ役のドワイアー・ブラウンも居合わせながら、彼らを始球式に起用しなかったのは理解に苦しむところだった。
商魂逞しいMLBは、来年もフィールド・オブ・ドリームス・ゲームを開催するそうだ。惜しまれるうちにやめておいた方が賢明だと思うが、この映画というか、WP・キンセラによる原作の小説「シューレス・ジョー」において、家族愛と並ぶ重要なテーマのひとつがベースボールへの愛と郷愁なので、セイバーメトリクスと高性能電子デバイスによる解析だらけの現在のMLBにおいて、それはそれで意味があると思う。
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