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野球 コラム 2021年6月10日

【ハイライト動画あり】道産子バッテリー爽やかに散る 東京農業大学北海道オホーツク vs. 上武大学 全日本大学野球選手権

野球好きコラム by 岩瀬 孝文
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東農大オホーツクの古間木捕手が本塁打

さすがに北海道網走市からの人たちは、ほとんど見られない神宮球場のスタンドであった。
「応援、よろしくお願いします!」
試合開始前、1塁側スタンドに向かって整列し大声を出した東農大オホーツクの選手達だ。
このとき夏日の気温上昇中ながら、どこか冬網走の流氷の清涼な香りがしたように思えた。

雪国北海道いわゆる道東(どうとう)に遠軽という町がある。
注目の強打者しかもリード抜群な古間木捕手は、その遠軽高から東農大オホーツクへ進学してきた。JR遠軽駅裏手には巨大な岩が聳え、そこはロックバレーと呼ばれ地元民の憩いの場。3回表には、古間木捕手がまるでその巨岩のごとく豪快にソロホームランを放つ。

東農大オホーツク石澤投手

また、先発の石澤投手も網走南ヶ丘高出身の左腕、東農大オホーツクバッテリーはともに北海道出身。そしてエース林投手(佐久長聖)を挟み、1年生の笠間投手(旭川実)の登板をみて、道産子バッテリーここにありだった。

上武大紫藤投手

果敢に攻め込む上武大は、今大会注目の強打者ブライト外野手(葛飾野)を軸とする強力打線で、東農大オホーツクが繰り出す5投手をことごとく打ち込んで加点していった。
この2番指名打者の大沢(桐生第一)、3番ブライト、4番進藤捕手(筑陽学園)にはたとえコースを投げ分けても、少しでも甘く入るとすぐに長打につながる威圧感があった。

ソロ本塁打のブライト外野手(上武大)

「立ち上がりに2点を取られて、厳しい印象になりましたが、粘り強くいけばよいのではとの認識がありました。そこで2まわりくらいすれば、そうですね、捉えられると。今日の本塁打3本はできすぎでしょう」
とみに落ち着いた眼差しで応えた上武大の谷口監督。
強打爆発の上武大は毎回得点の11点、先発の紫藤投手(東海大相模)は本塁打を浴びたが要所を締め、そのまま7回コールド勝ちとなった。

上武大のブライトを揺さぶる古間木捕手

フィールド上で存在感にあふれ、セカンドへのスローイング、さらにはカバーまでもが素晴らしい古間木捕手は、けっして、うなだれようとはしなかった。
昨日の対天理大戦の10回タイブレイク勝利に、今日の適時打とソロホームランまですべてにおいてやり切ったのだ。

全日本大学野球選手権2021

【ハイライト】東京農業大学北海道オホーツク vs. 上武大学

そうだ、胸を張って帰ろう、空路、女満別空港と網走までの道のりを。
夏直前の明治神宮野球場からまだまだ涼しい海風が吹き抜ける、我らが北の故郷へと。

文・写真/岩瀬孝文

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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