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野球 コラム 2021年5月23日

「多すぎるノーヒッター」の背後に潜む本当の問題点

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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もはや、「ほほぅ、今日もか」くらいの感覚だ。現地時間5月19日、ヤンキースのコリー・クルーバーがレンジャーズ戦でノーヒット・ノーランを達成したが、不謹慎を承知で言うなら「快挙」という表現を用いることに若干の抵抗すら感じてしまう。なにせ、開幕から約1ヶ月半強ですでに6度目。クルーバーの前日には、タイガースのスペンサー・ターンブルがマリナーズ戦で達成しているので2日連続なのだ。さらに外数としては、ダイヤモンドバックスのマディソン・バンガーナーによる、ダブルヘッダーゆえの7回戦制での参考記録のノーヒッター(4月25日)もあった。仮にこのペースが閉幕まで続くと、今季は20度くらいになってしまう。さすがにそれはないだろうが、2015年の年間7度のメジャー記録(継投での達成を含めれば、他にも7度のシーズンはある)を更新する可能性は十分だ。

今季は確かに異常だが、単独ノーヒッターは2000年代には14度だったのに対し、2010年代は34度、そして2020年代(短縮シーズンの昨季とまだ2ケ月に満たない今季)はすでに8度も達成されている。この10数年で頻度が高まっていることは事実だ。

その理由として、まずは近年三振数が異常なまでに増えてきていることが挙げられる。9回平均の三振数は、2000年には6.5だったが、今季は9.2(現地5月20日時点、以下同様)。もはや、「イニング数を上回る奪三振数」というのは、投手にとって特に誇れるものではなくなっている。

BABIP(Batting Average on Balls in Play)の法則という考え方がある。本塁打と三振を除いた打率は強打者もそうでないものも、長いスパンでは概ね3割前後に落ち着く、というものだ。この考え方に立てば、三振数が増えれば増えるほど平均打率は低下する理屈になる。実際、今季の平均打率は.236で史上最低だ。

三振増の理由としては、トレーニング法の進化等で球速が目に見えて増していることが第一だ。フォーシームファストボールの平均球速は、セイバーサイトのfangraphsによると、2010年には92.3マイル(148.5km)だったが、今年は93.8マイル(150.9km)だ。今や150kmでは、「並以下」なのだ。その一方で、チャンジアップなどのいわゆるオフスピードピッチはより多用される傾向にある。剛速球と組み合わされると、ちょっと打てるものではない。

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