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「自分は来年も同じような状況でやれるのか?今年と同じ事を繰り返すのではないか?ローテーションで回るだけの投球が果たしてできるのだろうか。そして完璧を求められる中で、それにこたえられるのか…」。吉見の中で自問自答が続いた。
出した結論は“引退”だった。
『吉見引退』が新聞の一面を飾った日、吉見はいつも通り、ナゴヤ球場にいた。若い選手に引退の挨拶をし、練習に参加していた。その表情は、実に柔和で晴れやかだった。背中に覆いかぶさっていた重たい空気はなかった。
2008シーズン終了後、かつてのエース、川上憲伸は海を渡りメジャーに挑戦した。去り際に川上は、「いつまでも僕がエースではダメ。そうならなければダメです」と話した。入れ替わるように、この年吉見一起は自身初の2桁勝利を挙げた。
2020シーズン、吉見はユニフォームを脱いだ。そして「ずっと吉見塾に入っていたかった」と話した大野雄大は見事に沢村賞に輝いた。確実に受け継がれるエースの血がある。それは言葉で託すものではない。先人達は背中で後輩たちに教え続けた。吉見のラストピッチからはその意思を感じ取れた。
11月6日。ナゴヤドーム最後のユニフォーム姿、後輩たちは吉見の言葉に涙を流した。
「ドラゴンズは強いです。もっと強くなります。後悔のないように1日1日を大切に」
大げさに飾る言葉はなかった。淡々と思いを丁寧に述べる引退挨拶だ。それも実に吉見一起らしい。かつてのエースは目には見えない多くの財産をドラゴンズに残してくれた。それは多くの選手に伝わっている。残してきた物は間違っていなかった。伝えてきた事は正しかった。吉見にそう思って貰う事が最大の恩返しになる。
セリーグの頂点へ。吉見一起がドラゴンズに残した炎はこの先も決して消えることはない。
文/写真:森貴俊
森 貴俊
1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!
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