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野球 コラム 2020年11月24日

球界のカマラ・ハリス?キム・アンがマーリンズで史上初の女性GMに

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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ここまで読まれ、疑問を抱かれた方も少なくないだろう。なぜ、彼女のような若くして将来を嘱望された人物が、GM補佐から正GMに上り詰めるのに、ここまで長くの年月を要したのか、ということだ。今やGMは名門大学を出た30代のビジネスエリートが幅を利かすポストだというのに。アン氏は就任数日後には52歳になった。

彼女は、2005年にはドジャースで次期GM候補に名が挙がった。その後はフィリーズ 、メッツ、ジャイアンツ、マリナーズ、パドレスでGMポストの面接を受けたが、いずれも採用されなかった。2011年以降はMLB機構で、Baseball Operation部門のVice President として主として国際関係を担当していた。

初めてのチャンスから成就まで15年も要した理由は、フィールド上とは異なり、男性しかも白人がほとんどというこの業界の閉鎖性ゆえだろう。実際就任会見でも、質問も彼女自身のステートメントも、女性であること、人種的マイノリティであることに焦点を当てたものが多かった。

2003年オフのアリゾナでのGMミーティングでは、メッツのスカウト部門のビル・シンガー特別補佐から差別的な言葉を浴びせられる、という一件もあった。シンガーはその直後、これを理由に解雇されている。

今回のアンのGM 就任に関する現地報道では、女性やアジア系記者によるものが目立った。いずれも、彼女の就任がいかにこれから先の世代の女性やアジア系の人たちに勇気と希望を与えたか、という論調が多かった。

歴史的な出来事には、必ず時代の必然性が伴うものだ。数年前からのMe TooやBLM運動で、平等や人権の重要性が一層強く論じられており、今年に関しては、史上初の女性のそして人種的マイノリティの副大統領誕生が事実上決定したことが、機運としてのバックグラウンドにあったと言って良いだろう。

そして、マーリンズはオーナーグループにアフリカ系のデレク・ジーター(アンとは選手とフロントという立場の違いこそあれど同僚だった)が名を連ねており、COO(最高執行責任者)は女性のキャロライン・オコナーだ。加えて、今季大方の予想を裏切り17年ぶりのポストシーズン進出を果たしたこともあり、同球団はポジティブなメッセージを発し続ける必要があったとも言えよう。

彼女のGM就任は、間違いなく多くの女性やマイノリティに希望を与えた。しかし、ここからは意義や話題性だけでなく、その実績で語られるようになる。まずは宿題満載のストーブリーグをどう乗り切るか、お手並み拝見である。

文:豊浦彰太郎

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豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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