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野球 コラム 2020年10月21日

全てが例外的なシーズンの特別なワールドシリーズ

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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しかし、ここはポジティブに考えたいと思う。

今季は、1876年のナショナル・リーグの誕生まで遡れるメジャーリーグの長い歴史の中でも、特筆すべきシーズンだ。遠く離れたわれわれ日本のファンさえも、間違いなく歴史の証人なのだ。これから先、どれだけ長くMLBが存続するのかは神のみぞ知るところだが、50年後、100年後にその歴史を振り返る際に、必ず2020年の特異な運営については触れられることになる。

今季のMLBには通常のシーズンに比べ、欠けているものがあまりに多い。ワールドシリーズでも自軍カラーのタオルを振り回して応援する超満員の地元ファンの姿と大歓声がないのは寂しい限りだ。でも、これも貴重な体験だと思いたい。何よりも、ここまでの選手の熱い戦いぶりは、たとえスタンドが無人でも昨季までのそれに遜色ない。しっかり、見届けたいと思う。

レイズ とドジャースは、両リーグ最高の勝率を記録したこと以外は、驚くほど対照的だ。

1884年創設の古豪ドジャースと、その100年以上も後になる1998年に球団拡張でダイヤモンドバックスとともに誕生した、もっとも歴史の浅い球団であるレイズ 。ドジャースはクレイトン・カーショウ、ムーキー・ベッツ、コディ・ベリンジャーの3人のMVP経験者に象徴されるスター集団だが、レイズ には全国区の選手は極めて少ない。2018年サイ・ヤング受賞のブレイク・スネルくらいだろう。ディビジョンシリーズとリーグチャンピオンシップシリーズで計7本塁打と目覚ましい活躍を見せたアンディ・アロゼレナも、昨季カージナルスでデビューで、開幕時点では全くノーマークの存在だった。実際、今季の登場も、新型コロナウィルス感染で8月末からだった伏兵だ。そして、両軍の年俸総額は、ドジャースは9498万ドル(60試合開催による減額後の金額)で全球団中2位であるのに対し、レイズ は2877万ドルで28位だ。特にレイズは、この低年俸で金満球団ヤンキースを公式戦でもポストシーズンでも下しているのだから恐れ入る。単純な戦力比較では、選手層と打力の差でドジャース有利と思われるが、勝負の行方は果たして?

文:豊浦彰太郎

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豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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