人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

野球 コラム 2020年8月20日

リーグ戦より巡業、多くの斬新な試み、とんでもないスーパースター、「二グロリーグ設立100周年」

MLB nation by 豊浦 彰太郎
  • Line

1947年にジャッキー・ロビンソンがデビューするまで、MLBから黒人選手達は排除されていた(19世紀には黒人選手在籍の記録がある)。そのため、二グロリーグには相当優秀な選手も在籍しており、通産2000勝!を挙げた(とされる)伝説的名投手のサッチェル・ペイジや、800本塁打以上を放った(とされる)ジョシュ・ギブソンら、これまで35人が殿堂入りしている。

ちなみに、記録が完備していないこともあり、彼らの残したエピソードは人口に膾炙するにつれ増幅された。ギブソンの場合も、「ピッツバーグで薄暮に放った一撃が視界から消え、翌日にワシントンDCでその打球が空から降って来た」というとんでもない「神話」がある。また、伝説的スピードスターのクール・パパ・ベルは、「壁の照明のスイッチをオフにし、部屋が暗くなる前にベッドに滑り込んだ」らしい。

ジャッキー・ロビンソンがドジャースでデビューし素晴らしいパフォーマンスを見せると、他球団も追随し次々と黒人メジャーリーガーが誕生する。そうなると必然的に二グロリーグは骨抜きになり、1960年代に入ると完全に消滅した。

その1960年代に公民権運動が盛んになるまで、南部諸州では人種隔離という名の差別は合法だった。そんな時代を生き抜いた二グロリーガー達の苦難を語ると枚挙に暇がないためここでは詳しくは触れないが、ひとつだけエピソードを紹介しよう。

今回マーリンズが復刻ユニを着用したマイアミ・ジャイアンツは冒頭記したようにセミプロなので、正確には二グロリーグ球団とは呼べないが、二グロリーグの歴史を紐解くと、やたら「ジャイアンツ」が多い。その多くは「都市名+○○○ジャイアンツ」というチーム名で、シカゴ・アメリカンジャイアンツ、ニューヨーク・キューバンジャイアンツ、フィラデルフィア・ロイヤルジャイアンツ、ボルティモア・エリートジャイアンツといった案配だ。

実は「ジャイアンツ」というのは黒人チームを意味する隠語でもあったのだ。当時は、新聞には黒人の写真を掲載することはタブー視されていたため、記事にせよ開催告知の広告にせよ、ニグロリーグの試合だと判るネーミングが求められたのだ。その名称にも、二グロリーガーやその運営に携わった人たちの苦労が忍ばれる。

文:豊浦彰太郎

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
野球を応援しよう!

野球の放送・配信ページへ