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今年旅立ったメジャーリーガーの中から、この6人を紹介する。
フランク・ロビンソン 2月7日没 享年83歳
38本塁打での新人王、史上唯一の両リーグでのMVP受賞、三冠王獲得など輝かしいキャリアを誇るが、史上初の黒人監督でもあった彼の人生は人種差別との戦いでもあった。
彼の全盛期はアメリカ公民権運動の最盛期と符合する。1965年のオフにレッズからオリオールズにトレードされボルティモアで住居を探さねばならなかった際に、すでにメジャーのスター選手だったが「黒人だから」ということで何度も契約を断られたという。
1975年にインディアンスでメジャー史上初の黒人監督になったが、反発も多かった。前年21勝のエース、ゲイロード・ペリー(通算314勝で殿堂入り)は、「黒人監督の下でプレーしなければならないのなら、せめてサラリーを1ドルでもやつより高くしてくれ」と不満をぶちまけた(その後、ペリーは放出された)。
ぼくは彼の現役時代のプレーを生で観たことがある。それは1971年秋の日米野球(オリオールズ単一球団での来日)で、これは長年のメジャーファンとしての良き思い出であり、ささやかな自慢だ。信じられないような話だが、オリオールズの選手は日本のファンのために、背番号の下に黒のマジックで「ロビンソン」とカタカナで名前を手書きしていた。
ビル・バックナー 5月27日没 享年69歳
22年のメジャーキャリアで通算2715安打を誇り、1980年には首位打者に輝いた強打者だが、ファンの間では、レッドソックス所属の1986年のメッツとのワールドシリーズでのエラーで知られている。このシリーズ、レッドソックス3勝2敗で迎えた第6戦、同軍は延長10回の表に2点を挙げ、その裏も2アウトまで漕ぎ着けながら、同点にされてしまった。そして、2死二塁からムーキー・ウィルソンの何でもない一塁ゴロをバックナーはなんとトンネル。まさかのサヨナラ負けとなった。最終戦もレッドソックスは落とし、1918年以来の世界一を逃してしまった。
しかし、あのトンネルは過大評価されている。なぜなら、シリーズ敗退の逆転サヨナラエラーではないからだ。その前に同点にされている。彼のエラーでサヨナラ負けとなったが、それがなくても、11回表に進むだけだった。そして、何よりもその敗戦で3勝3敗のタイになっただけで、第7戦を掴めば、世界一はレッドソックスのものだった。
バックナーは不当に「戦犯」扱いされた。だが、それが不幸だったとは今となっては言い切れないと思う。もしあの失態がなければ、バックナーは他にも多く存在するツウ好みの好打者で終わっていた。しかし、メジャーの歴史を語る際に、ビル・バックナーの名は大げさに言えばベーブ・ルースやジャッキー・ロビンソンらとともに欠くことのできない存在になっている。これはすごいことだと思う。
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