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野球 コラム 2019年11月26日

「2020年殿堂入り投票、ジーターも満票か?」背後に投票公表のトレンドが

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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その中で、前回リベラが満票を獲得できたのはなぜか?もちろん、歴代ナンバーワンの通算652セーブや、ポストシーズンでの圧倒的なパフォーマンス(141投球回で防御率0.70)などの文句のつけようがない実績の賜物なのだけれど、実績の卓越性はここに名を挙げた他の名選手達も同様だ。彼の場合は、ここ数年の投票に関する環境の変化も少なからず影響を及ぼしたと思う。それは匿名性の減少で、多くの投票者が積極的に自らの投票結果を公表しているのだ。その傾向の中で、「その他大勢」として「おいた」を企むのははばかれようというものだ。

投票においては、投票者は自らの投票内容の公表に同意するか否か、チェックボックスに記入することによって選択できる。投票結果発表の2週間後にはBBWAAのホームページで、「公表可」を選択した記者の投票内容を閲覧できる。これは2012年から始まり、同年の公表者比率は12%だったが、前回にはなんと80%に達した。

また、結果発表前から投票者達が自らの投票結果を明らかにするサイトの認知度・利用度が高まっている。前回で言えば、投票者の54%が結果発表前に自らの投票内容を同サイトでつまびらかにしている(結果発表後の公表も含めれば84%)。

とにかく、自らの考え方、判断を積極的に公にするのが近年の殿堂入り投票のトレンドなのだ(アメリカのメディアでは基本的に記事は記名式で、もともと各記者は自らの商品性アップのため積極的に自己主張する傾向にあるが)。前回のリベラに関して言えば、この傾向が追い風になった可能性は高い。

一方ネット社会の現実として、ひねくれた自己主張型は徹底的に叩かれる。昨年は12月下旬にマサチューセッツ州の地方紙「テレグラム&ガゼット」のビル・バロウ記者が「リベラには投票しない」と述べた。「投球回数が少ない救援投手は殿堂入りに値しない」というのだ。しかし、彼の主張はネット上で非難に晒された。結局、彼は翻意しリベラに投票した。この事例は、今回ひねくれ投票者が一層発生し難い舞台をお膳立てしたと思う。

そして、リベラが先鞭を付けたことにより、ジーターの満票獲得に対する抵抗感もファンの間でも投票者達にも一層小さくなっていると言えるだろう。

繰り返すが、ジーターが殿堂入りするのは、彼が残して素晴らしい足跡によるもにだ。しかし、満票を得るとすれば、ここに挙げた環境の変化も要因として見落とすことができない。

文:豊浦彰太郎

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豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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