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韓国が6回裏から起用したチョ・サンウは150キロ台の速球を投げる豪腕。だが、侍ジャパンは7回裏、二死3塁から5番・浅村栄斗が初球の155キロをライト前に弾き返して貴重な5点目を挙げる。
侍ジャパンの「勝利の方程式」は7回甲斐野央、8回山本由伸、9回山崎康晃と続く若手リリーフ陣。それぞれ140キロ台の縦変化を持つタイプだが、彼らは韓国に限らず、外国の強振する打者を面白いように打ち取っていた。
4年前の準決勝・韓国戦の「3点リードから逆転負け」という悔しい記憶はあるが、侍ジャパンのブルペン陣を見れば2点リードは十分な点差にも思えた。今大会5試合目の登板となる山崎康晃は、登板前の心境をこう振り返る。
「気持ちよかったですね。胴上げ投手になったことがなかったので。WBCのダルビッシュさんが胴上げされた映像(2009年)をしっかり見返してからブルペンに入りました」。
山崎が投じたボールは7球全てがツーシーム。4番パク・ビョンホをサードゴロ、5番キム・ヒョンスをセカンドゴロに打ち取ると、6番ヤン・ウィジを空振り三振に打ち取った。
試合を終え、整列する稲葉篤紀監督の目には涙も浮かんでいた。日本はプレミア12の2大会目にして初優勝。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)も含めれば、2009年大会以来10年ぶりの「世界一」だった。
大会MVPを受賞したのは鈴木誠也。8試合中7試合で打点を挙げて4番打者の役割を果たし、打率4割4分4厘、3本塁打、13打点と主要3部門の全てでトップに立つ活躍だった。
横浜DeNAでもクローザーの重責を背負っている山崎康晃だが、プレミア12にはまた違う重圧がある。しかし、彼はそれを喜びにして戦った。
「シーズン中の雰囲気とは違いました。重圧のかかるポジションでしたけれど、マウンドに立って応援される選手であることに喜びを感じました。日本の国旗を背負ってユニフォームに袖を通して気が引き締まる思いでマウンドに立っていました。僕自身の成長につながると思います」。
彼らが「戦った」のは決勝戦だけではなかった。宮崎合宿から1ヶ月に渡って寝食をともにしてチームを作り、強化試合から1つ1つ積み上げてきた。そして来年には東京オリンピックがある。
山崎はこう胸を張る。「2020年に向けて全員が団結して、これ以上になくまとまりを作って、東京で世界一を取れるように頑張りたい」。
文:大島和人
2019WBSC世界野球 プレミア12 決勝戦
【ハイライト】日本 vs. 韓国
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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