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「もう1つが真っスラ。僕は元々ストレートがスライダーするんです。きれいな真っすぐを投げたいんですが、これはこれでいいじゃないかなと考え方を変えました」。
「なにも綺麗なストレートだけがストレートじゃないかなと。これも有効的に使える方法があると思います」。
「あとは他のピッチャーがどうとか、考えない。関係ないです。自分が一番だと思って練習します。自分の力が上がれば、それがチーム力になるわけですから。チームの為にじゃない。全ては自分の為だと思っています」と話した。
開幕1軍とはならなかったが、秋から半年が経過した5月3日ナゴヤドームのヤクルト戦、福は今シーズン初登板を迎えた。結果は2失点。ヤクルト左の長距離打者、村上にスタンドまで運ばれた。
「悔しかったですね。左打者にあそこまで運ばれるのはダメですね。俺は何してんだって。でも改めて、1軍は何となくってボールが命取りになるって事を教えてもらいました。もう1つ僕のなかで火がつきましたね」。
ここまで26試合で失点した試合はわずかに2試合。打たれた本塁打はその村上の1本だけだ。現役続行が危ぶまれた場所から今、福は1軍で欠かせない存在になりつつある。
決して諦めない。その姿勢に心から拍手を送りたくなる。
絶望的な故障からまだ2年。1軍の試合はどこか遠い場所だった。来る日も来る日もナゴヤ球場のトレーニングルームが福の主戦場だった。孤独と向き合い不安に打ち勝ってきた。そんな日々が福を強くした。
チームは苦しい状況が続いている。でも、福の言う「自分が一番」。どん底からここまではい上がってきた福敬登からは、今チームに必要な底力を感じる。
文:森貴俊
森 貴俊
1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!
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