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7月の大型連勝後、待ち受けていたのは大型連敗だった。チームの順位が安定しない中、セットアッパー、ドラゴンズ福敬登の投球は日々安定感を増している。
入団4年目の今シーズン、7月28日現在、26試合に登板し防御率はなんと0.90。登板16試合連続無失点と抜群の数字を残している。そんな福も、ここまでの道のりは決して順調ではなかった。
左肩関節唇を損傷し2017年オフには育成契約となった。2018年再び支配下登録に戻った。一時は現役続行も危ぶまれた。
福は「手術か保存療法かの選択でした。投げられる可能性が高い方を選びました。少しでも野球が続けられる方を選択しようと」。
メスを入れなければ痛みが消えないかもしれない。また再発することも十分に考えられる。しかし福は保存療法を選んだ。
そこから試行錯誤の日々が始まった。なぜ痛みが生じるのかを考えた。そして自分の筋力やフォーム、すべてを徹底的に理解した。
「同じことをしていても痛みは消えないです。痛くならない投げ方、そして筋力アップを徹底しました。肩に集中して負担がかかっていたので、まずはそこの改善からでしたね。本当に戻れるのだろうか。そう思った事は正直ありましたね」。
とにかく優しい。誰とでも笑顔で会話をする。辛い思いをそう感じさせないのも福の魅力だ。
2018年秋季キャンプ。福は沖縄にいた。一部投手陣のみで行われたキャンプ。いつも笑顔の福だが、このキャンプの顔は違った。
「新体制になってチャンスだと思います。逆にアピールできなきゃ終わりです。それくらいの思いでこのキャンプをやります。故障から支配下に戻ったのにここで終わりたくない」。
「故障から戻る為にやって来たんじゃないです。活躍する為にやってきたつもりです。来年(今年)ダメなら終わりって思っています。だから後悔はしたくない」。悲壮感さえ感じる福の表情は決意に満ちていた。
福はモデルチェンジの明確なプランを持っていた。それは故障しない為のチェンジであり、進化するためのチェンジでもあった。その1つが対左打者への絶対的な強さだった。
福は「自分の色、チームにとって武器になるには左キラーだと思っています。その為にクロスに構えてギリギリまでボールを見せないフォームに変えました。」。
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