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7月9日ナゴヤドーム、広島戦。スターティングメンバーの発表にファンはどよめき、同時に暖かい拍手を送った。“我が子”を送り出す。そんな空気にも思えた。
18歳高卒ルーキー、石橋康太がスタメンマスクに抜擢された。この日の先発は高卒2年目の清水達也。プロ野球では珍しい10代バッテリーに多くのファンの期待が膨らんだ。
石橋にスタメンが告げられたのは前日の試合後だった。しかし、この日の練習は緊張感を出さずいつも通りこなしていた。これも石橋の強さだろう。心をしっかり制御し、いつもの自分に努めた。
試合開始3分前。さすがに緊張がこぼれていた。表情は硬くペットボトルの水を半分一気に流し込んだ。表情を察し、先輩の亀沢恭平が背中をさする。肩をもみほぐし耳元で囁いた。
その言葉に石橋の表情が少し和らいだ。ベンチも同じだ。そこにいた誰もが自分の18歳を思い起こしていた。
打たれた抑えたは別として、石橋の良さが存分に出ていた。一言でいうなら“雰囲気”。18歳ながら石橋康太には、キャッチャーらしさが備わっている。
捕手によっては、淡々とサインだけを投手に出すタイプもいるが石橋は違う。自分の意思をはっきり伝える。
サインに加えて、“必ずボールにしろ”“ランナーへの意識を切るな”“ゾーンを大きく”“ここは絶対に低め”。身振り手振りを使い己の考えを伝えていく。
全ての選手が年上。歳が近い清水が先発ではあるが、そこへの遠慮はしなかった。間違っているかも…なんて考えで捕手はつとまらないからだ。
伊東ヘッドコーチに聞いてみた。「使ってみたい思いはあったよ。でも、使えるかどうかは別だった。石橋は下で、広島の野間の盗塁を刺したんだ(7月4日ウエスタンリーグ、由宇での広島戦)。
それが1軍に上げるポイントになった。野間レベルの選手を盗塁で刺せたら1軍で使っても恥ずかしくないかなと思ってね」。
「デビュー戦としては上出来ですよ。堂々とやれたしね。まだ、これからの部分はもちろんあります。1軍の試合で学んでいく事も多いですよ。具体的には1軍投手がキャッチャーを育てていくって事です。
このチームにはそういう部分が足りない。石橋が清水に対してできた事をベテランに対してやっていかないといけない。投手が捕手を育てていく部分もあるから。石橋は遠慮なく分からない事は聞きに行くから。吸収してくれると思う」と話した。
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