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昨年の第89回大会で橋戸賞(最優秀選手賞)を受賞したのが近本光司(大阪ガス→阪神タイガース)だった。
170センチと小柄な彼のドラフト1位指名を疑問視する声もあったが、今季の彼は阪神の押しも押されもせぬレギュラーとして定着し、高水準の走攻守を見せている。
第88大会の橋戸賞を獲得した福田周平(NTT東日本→オリックスバファローズ)も、1年目から1軍の主力として活躍している。このように都市対抗はプロの即戦力をコンスタントに輩出している大会だ。
橋戸賞(最優秀選手賞)の他にも、敢闘賞に相当する久慈賞、新人賞に相当する若獅子賞といった個人表彰がある。これらも錚々たる選手たちが受賞している栄誉だ。
都市対抗の楽しさはグラウンド内にとどまらない。この時期の東京ドームは日本を代表する大企業が総力を挙げて盛り上げ、チームを送り出した自治体もその名を全国にアピールするお祭りの場になる。
あらゆる「ゆるキャラ」が東京ドームに集結し、次々と応援台に上がる。屋内で行われる大会ということもあり、演奏や音響も様々な工夫ができる。
学生野球のオーソドックスな応援も楽しいが、社会人野球の応援は「オリジナル度」が高い。しかもここ数年、その洗練ぶりが際立って上がっている。応援のノリも総じてよく、スタンドの盛り上がりは初めて見た人ならば驚くだろう。
例えばホンダ3社のように、オリジナルの応援歌をいくつも持つチームがある。ヤマハは楽器の会社だけあってブラスバンドの水準が抜群に高い。社員でなくても、地元住民でなくても、応援に参加して楽しむのは自由だ。
残念なのはハイテンションな応援で、無関係者まで巻き込むセガサミーの予選敗退だ……。しかし、どのチームも「とっておきのネタ」を用意して、1回戦から我々を楽しませてくれるはずだ。
来年の第91回大会は東京オリンピックの影響で、開幕が11月22日となる。社会人野球ファンのルーティンは少し崩れることになるが、それは小さなこと。都市対抗の魅力は令和を迎えても、第100回大会に向けて更に磨かれていくはずだ。
大島 和人
1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty)
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