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4月後半、高橋周平は長いトンネルに入ってしまった。抜け出そうと思ってもなかなか抜け出せない。ゴールデンウィークの12連戦中。チームが苦しい時にキャプテンとしてもどかしさが募る。
光が見えたのは5月5日、子供の日だった。ヤクルト2人目、中尾から放ったライトへのファール打球。高橋周平の身体に確かな感覚が走った。「あ、今のだ!」。
猫背になっている。前かがみ。体が突っ込んでいる。色んな事が言われた。もちろんトンネルを抜け出す為のアドバイスだが、試行錯誤も糸口がつかめないでいた。
しかし、この日の感覚は違った。高橋は「打った瞬間、あ、今のだなって思いました。タイミングの合い方が違ったんです」。
翌日の広島戦から高橋周平の猛打賞ラッシュが始まった。この日からのカープ3連戦は、13打数8安打4打点、打率.615をマークした。長いトンネルが嘘だったかのように、振ればヒットの状態に入った。
「広島戦で感覚が確かな物に変わりましたね」。
その“感覚”を高橋は言葉で説明した。
「打ち出すポイントと、ボールにバットが当たるインパクトがほぼ同じだった」。
「不調になって、上下の割れとか、形ばかりを気にしていたんですが形ではなくタイミングの取り方だったんです。タイミングの取り方を早めにすることで、インパクトまでに間ができました」。
村上打撃コーチはこう説明する。「誰でも通る道です。周平はこれまで不調に陥るとすべてをリセットしていたが、今回は根本は変えていないんです。これまでやって来た事に枝葉をつけたというかね」。
「バッティングの引き出しの多い選手ではないから。トンネルに入った時は引き出しを増やす作業だと思っていました。形は教えられるしアドバイスできる。そんな中で自分の感覚とマッチさせていく。これの繰り返しですよ」。
「好調は続いてほしいが、今の状態がずっとは続かない。必ず崩れるのがバッティングなんです。その時ですよね。どれだけ短時間で抜け出せるか楽しみですよ」と話す。
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