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大谷復帰の試合前、16勝19敗(勝率.441)と、ペナントレースですでに遅れを取っているエンゼルス・ファンは大谷に「救世主」的な活躍を望んでいたと思う。
「怪我から復帰したばかりだから、のんびりやってくださいよ」などという考えは微塵もないだろうし、本人もきっと、そんなことはまったく考えていない。
とりあえずは「打者・大谷」の限定復帰なので、彼の復帰前にチーム得点158(ア・リーグ11位)、チームOPS.730(同10位=出塁率.321+長打率.409)と苦戦しているオフェンス面での起爆剤になってくれることを望んでいただろう。
もちろん、たった復帰後10試合も出場していない段階で、大谷の影響云々を語るのはナンセンスだが、現在はチーム得点203がリーグ6位、チームOPS.754が同8位とかなり回復してきており、偶然にしては出来すぎの話ではないか。
そもそも大谷は昨季、104試合367打席で59得点、OPS.925(=出塁率.361+長打率.564)を記録しているので、ファンが期待するのも当然だろう。
実際、「打者・大谷」のメジャー復帰後、エンゼルスは大谷が出場した7試合で5勝2敗と勝ち越し、やれ復帰後初安打だ、初マルチだ、初本塁打だと我々日本のメディアが騒ぎ立ててる内に、エンゼルスは20勝22敗(勝率.476)と勝率5割まで「あと2勝」まで持ち直した。
順位的にはア・リーグ西地区2位のマリナーズ(22勝23敗、勝率.489)に次ぐ3位である。
ただし、この地区は2年連続地区連覇中で今年も優勝候補の首位アストロズ(28勝15敗、勝率.651)が抜けているので、今も今後も順位はあまり関係ない。
目指すは、2枚あるワイルドカード。つまり、勝敗(勝率)を追求するのみである。
目標が小さい? いやいや、5年前の2014年に98勝64敗(勝率.605)で地区優勝して以来、プレーオフから遠ざかっているエンゼルスにいきなり、「何が何でもアストロズを打ち負かして地区優勝しろ」と望むほうが現実離れしている。
過去5年、昨季のヤンキース(100勝62敗、勝率.617)を除いて、ワイルドカード進出チームの勝敗(勝率)は、最低が2017年ツインズの85勝77敗(勝率.525)。最高でも同年ヤンキースの91勝71敗(勝率.562)と「勝率5割台」に留まっている。
しかも、2018年の100勝ヤンキースと、同年に97勝65敗(.599)だったアスレチックス、そして2017年の91勝ヤンキース以外の7チームはすべて「80勝台でワイルドカード獲得」にたどり着いた。
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