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そうなった時点でカブスの救援投手陣は、「9枠に2人の争い」とも「8枠に1人の争い」とも言われる狭き門になった。それも先発ローテーションから外されたタイラー・チャトウッドが開幕までに「トレードされるかも知れない」という可能性を考慮してのことだ。
それでも「枠内」にいる救援投手が不調や怪我などで「欠員」を出せば、オープン戦で結果を残した投手たちの中から誰かが「昇格」することになる。事実、貴重な左腕として過去数年、カブス救援投手陣を支えてきたブライアン・ダンシングがこの春、「DFA≒戦力外」となっている。
もしも健康面で不安があったペドロ・ストロップやカール・エドワーズ・Jr.が同時に開幕に間に合わなかったり、スティーブン・シシェックやブランドン・キンツラーがどうしようもないような不調に悩まされたりした場合は、彼らを怪我人リスト(IL)に入れることで「枠」は(たとえそれが一時的なことだったとしても)空いた。
一見、絶望的に見える「メジャー昇格」の可能性は、少なからずあったのだ。結果としてそれらカブスにとっての「不測の事態」は起こらず、田澤は自由契約になった。彼は他球団での再出発も視野に入れながら、自由契約後の数日間を過ごしていたという。
「またクビかよ、という感じはありましたけど、できる限りのことはやった。家の近くのジムとか行ってたり、投げること以外はできたかなと思います」
自由契約となった球団に戻るのか、それとも他球団でチャンスを掴むのか。どちらも球団側の獲得意志があって成立することなので、その判断は難しい。キャンプで「メジャー昇格」を逃したベテラン選手が、自由契約となった球団にも他球団にも行けずに無職となるケースは決して少なくない。カブスは田澤の自由契約を、とくに発表せず、最初から再契約の方向で動いていた。
「そういうニュアンスはありましたけど、そこはアテにしてもしょうがないかなと思いましたし、このタイミングでクビになっても、どこのチームも25人枠は埋まりつつあるわけで、なかなか難しいとは思っていた」
田澤のようなベテラン選手は皆、メジャーかマイナーかという以前に、プロ野球選手としての「生き残り」を懸けて戦っている。「自由契約」は最悪の結果だが、マイナー契約を結び直したことで、その戦いを続ける「資格」を得たということになる。
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