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去年の秋キャンプ、ナゴヤ球場に姿を見せた伊東勤ヘッドコーチの目に素晴らしい素材が飛び込んできた。「ソフトバンクの甲斐にも劣らない肩をもっている選手がいた」。
プロ入り5年目、26歳の捕手、加藤匠馬だ。2018年は1軍出場なし。ここまでプロ通算わずか5試合。捕手にとって重要視される経験や引き出しはまだない。新監督、新首脳陣の中、始まった今年のドラゴンズ、加藤はチャンスと捉えている。
「ある程度、フラットな見方はしてもらえるかと思います。だけどしっかり結果を残さないとここまでと同じ。チャンスをじっと待っていてもしょうがない。このキャンプで自分からつかみに行くつもりでやっています」と話す。
経験はないが、加藤には最高の強みがある。伊東ヘッドも目を見張った強肩だ。入団時から肩の強さは折り紙つきだった。その強烈な強さは、盗塁時ベースカバーに入る野手誰もが口にする。
キャプテンの高橋周平は、「他のキャッチャーとは明らかに送球の軌道が違う。ベースに向かって地面を這うような、グンと浮き上がってくるようなボールが来ます。初めて見た時は正直驚きましたね」と話す。
また、投手の笠原も同様に「チームに入って初めてキャッチボールした時、度肝を抜かれました。え?マジ?って思うボールでしたよ。ワンステップくらいで軽く100mくらいは投げますしね。投手辞めたくなりましたよ」と明かした。
入団時、ドラゴンズには谷繁選手兼任監督がいた。ルーキー加藤からしたら大きすぎる壁。かつ1軍キャンプでは、肩の強さ以上に、体の細さや打撃の非力さが目立ち2軍行きとなった。
そこから4年が経った。今はユニフォームを脱げば鋼のような肉体を持っている。「体を大きくするのは難しいですが、僕の身長でも身体を強くする事はできますから」。加藤は小さな努力を積み上げてきた。
去年10月、加藤は年明けの自主トレ先を大阪に決めた。大島洋平に一緒に大阪でやりたい事を申し出た。大島からは快諾をもらったが、その真意をこう明かした。
「大島さんは毎年安定した数字を残している。参考にしたい気持ちもありますが、もう1つは大島さんと一緒に自主トレをしている周平が結果を残した」。
「正直悔しいし。4年やってきてこれではダメ。何かを大きく変えないといけない。そう思って大島さんに相談しました」。
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