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アスレチックスは、メンデン降板後に送り込んだ6人の救援投手が2本塁打を含む7安打5失点したことで「奇策」に失敗したわけだが、彼らがこういうことにトライできるのは、アスレチックスの救援投手陣が彼らの「武器」だからだ。
救援投手陣のチーム防御率はアスレチックスの3.37に対して、ヤンキースが3.38とほぼ互角。しかし先発投手陣のチーム防御率はアスレチックスが4.17、ヤンキースが4.05と差があるため、この「奇策」も納得できる。
アスレチックスはきっと、8月のヤンキース戦同様、ヘンドリクスを1イニングで降板させて、残る8イニングを左腕ライアン・ブッチャー(防御率2.75)やルー・トリビアノ(防御率2.92)、メッツから途中加入したセットアッパーのヘウリス・ファミリア(移籍後の防御率3.45)、そしてクローザーのブレイク・トレイネン(防御率0.78)に継投したいところだが、前述の通り、9月のヤンキース戦では救援投手が打ち込まれて失敗に終わった。
最後になるが、実はアスレチックスのヘンドリクス起用以上に驚かされたのが、ヤンキースが先発にセベリーノを立てたことだった。
今季の対アスレチックス戦で好投(6回2安打1失点5三振)の左腕J.A.ハップや、今季、同カードでの登板こそなかったものの、通算5試合32.0回に投げて3勝2敗、防御率2.52という数字を残している田中将大投手ではなく、今季の同カードで2試合8回と2/3を投げて11安打7失点(自責点6)のセベリーノを立てたことは、ブーン監督の大英断だと言っていい。
どちらも失敗すれば「なぜ?」と叩かれる起用法である。もしかしたら、昨季のア・リーグ・ワイルドカード・ゲームのような打撃戦になって、「今日の試合って、いったい誰が先発したんだっけ?」というような展開になるかも知れないが、どうにも落ち着かない「立ち上がり」になりそうな予感がする。
ナガオ勝司
1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員
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