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野球 コラム 2018年9月30日

【中日好き】野本圭、同級生の絆

野球好きコラム by 森 貴俊
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浅尾が会見を行った夜、野本はこう話していた。「29日に打席に立つよう言われたんですが、断ろうと思います」。もちろん即座にその理由を聞いた。

「最後1軍の打席に立たせていただけるのは嬉しいです。引退会見だってして頂ける成績でもないのに。だけど、タク(浅尾)の邪魔だけはしたくない。あれだけの功労者ですし、同じ日に僕の最終打席なんてタクに申し訳なくて。その日はタクが一人でファンの皆さんに送り出してもらうべきだと思うんです」。

自分の事より人の事。長年同じユニフォームを着てきた同級生、戦友、浅尾拓也への思いは誰よりも強い。それが野本圭という男だ。ゆえにみんなに愛される。 しかし、その思いは浅尾拓也も同じだった。浅尾は野本へこう言った。

「圭、29日一緒に出よう。俺も圭と一緒に終わりたい。1人で引退も寂しいし、俺、喋るの下手だし、圭と一緒の方が心強いから。だから同じ日に終わろう」。

野本は浅尾の思いをくみ取った。「タクにそう言ってもらえるなら。それ以上は言わしちゃいけないかなとも思うんで」。

説明の必要はなかった。スタンドで2人を見つめるファンからは拍手のシャワーが降り注いだ。前日、岩瀬が達成した1000試合登板とはまた一味違う、今シーズン一番暖かい拍手だった。

野本は後輩たちに思いを残す。「強いドラゴンズであって欲しい。僕はありがたい事に、優勝の輪にいられた。あの時間、空間は特別です。いつの日か後輩たちにも味わってほしい」。

常に野球に全力でぶつかっていた。常に元気で前向きだった。技術以上に野球への姿勢を重んじた。最後まで泥にまみれヘッドスライディングする姿は少年のままだった。そんな男に後輩達は胸を熱くした。野本圭からはいつも野球の原点を感じる。

受け継がれる物は必ずある。後輩達は、この日、野本圭が流した涙をけっして忘れないだろう。

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森 貴俊

1976年愛知県出身。東海ラジオ放送スポーツアナウンサー。ドラゴンズ戦中心のガッツナイターをはじめJリーグ、マラソン等スポーツ実況を担当。原点回帰を胸に、再び強き竜の到来を熱望する43歳。日々体力の衰えを感じるがドラゴンズへの喜怒哀楽は衰え知らず。今年もマイクの前で本気で泣いて怒って笑います!

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