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記者席が和んだ六回二死、マウンドに上がったのはカブスの控え内野手トミー・ラステラだった。大差の付いた試合で無駄に投手は使いたくない。日本では「喝!」という人もいるらしいが、メジャーリーグでは常識である。ましてや翌日はダブルヘッダーが予定されている。ラステラはメジャー屈指のオールスター捕手ヤディヤー・モリーナを中飛に打ち取ると観客のカブス・ファンのパラパラとした拍手を浴びてベンチに引き上げる。無駄に投手を使いたくない「メジャーリーグの常識」を知っているファンは、このぐらいではそう喜ばない。
六回表に1対15となった時点でカブスのジョー・マドン監督は、周囲の人間にもはっきりと分かるように「白旗」を上げた。ラステラ内野手の登板はその第一歩。七回表になると、①主砲(なのに奇策が好きなマドン監督の意向により1番を打つ)アントニー・リゾの代わりに捕手も兼任する控え内野手のビクター・カラティニが一塁に入る。②3番ジェイソン・ヘイワード外野手の代わりに控えのイアン・ハップ外野手が右翼に入る。投手だけではなく主力選手も温存するのは、メジャーリーグの監督がいかに162試合を睨んだ戦いをしているかの証であり、彼らは「健康維持」のチャンスを決して逃さない。
七回もマウンドに上がったラステラは、先頭打者にソロ本塁打を打たれたものの、何とか後続を抑えて1回と3分の1を投げて3安打1失点で切り抜けた。スコアは1対16だ。その裏、途中出場のカラティニが空振り三振した後、続く「もう一人」の主砲(なのに2番を打つ)クリス・ブライアントが左中間スタンドにソロ本塁打を叩きこむ。後続のオールスター・コンビ、ハビアー・バエズやカイル・シュワバーの活躍でカブスはこの回、さらに2点を追加して4対16となった。
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