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◆3年目の茂木にかける期待。「彼ならできる」
だから自らの立場を理解し、若手育成にも尽力する。ショートを守る3年目の茂木栄五郎には、ルーキー時代から細やかにフォローし続けている。
元々サードだった茂木は、プロ入りして初めてショートを担うようになったため、少なからずエラーを記録している。
手痛いエラーにがっくりとベンチで落ち込む茂木には、いつも藤田が寄り添う。どんな言葉をかけているのか尋ねた。
「難しい場面でエラーが出た後、茂木の中で他に選択肢はあったのかどうか(を聞いた)」。何を思って、エラーに至ったのかを確かめたという。
「あいつが成長するためには、やっぱり1つの選択肢だけじゃなくて、2つ、3つの選択肢を持つようになればと。余裕というか、プレーの中で、いろいろ考えながらできることによって、選択肢が増えてくれば、あいつのレベルも上がってくると思うんです」。
客観的に俯瞰するため、ベンチの指示も確認したうえで、意見を言うのだという。「それだったら、こういう選択肢もあったねという風に話しました」。若手が絶大な信頼を寄せるわけである。なんでも話せる理想の上司像だ。
「茂木もショートについてまだ3年目。まだまだ経験というものは少ないものがあると思うので、その中で、もっともっとあいつにはうまくなってほしいと思うし、内野の年齢層が高い今、彼が将来は引っ張っていかないといけない。彼ならできますから」。
だからといって、もちろん一線を退くつもりはない。今は若手に惜しみなく技術と知識を教え、チームの底上げに貢献するだけ。
「まず第一にチームが強くなってほしい。その中で自分も競争に勝っていかないといけない。そうでないと、チーム力も上がっていかないですから。チーム力も上がって、そこのレベル争いで自分も残って、試合に出られるというのがベストです」。
チームが最下位にあえぐ状況下、さらに負けが込めば、ますます若手に出場機会が与えられるようになる。だからこそ、チームの状態を上げなければならないと執念すらのぞかせて言う。
「借金は結構多いですけれども、これをしっかりと減らしていくことができれば、僕は全然まだまだ可能だと思っています。全然諦めていません。まだまだチャンスはあると思ってますから」。
その仕事ぶりと力強い言葉から、確かな希望が感じられた。
松山 ようこ
フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo
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