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松井稼頭央は1年目の2004年、出場30試合時点では122打数28安打で打率.230だった。
井口資仁は1年目の2005年、出場30試合時点では116打数38安打で打率.328だった。その時点での7盗塁はイチローの同時点での6盗塁を上回る日本人メジャー野手最多である。
城島健司は1年目の2006年、出場30試合時点では100打数27安打で打率.270だった。
岩村明憲は1年目の2007年、出場30試合時点では103打数34安打で打率.330だった。
福留孝介は1年目の2008年、出場30試合時点では114打数39安打で打率.342だった。20四球、出塁率.437はこの時点での日本人メジャー歴代最高である。
さて、大谷はどうか。
大谷が突出しているのは6本塁打と長打率.564だ。
出場30試合時点での本塁打数は、城島の3本塁打が過去最多だった。イチロー、松井秀、松井稼、井口はこの時点で2本塁打。岩村と福留は1本塁打である。
出場30試合時点での長打率は、福留の.491が過去最高だった。続いてイチローの.474、岩村の.447、井口の.431、城島の.410、松井秀の.366、松井稼の.336と続く。
つまり、大谷の出場30試合時点での本塁打数と長打率は、彼が過去のどの日本人打者も寄せ付けないほどの「長打力」を持っているという証だ。
そして、彼はほかの部門でも「いい勝負」をしている。
大谷の出場30試合時点での.291は、イチローの.350、福留の.342、岩村の.330、井口の.328に次ぐ歴代5位である。同時点での30安打はイチローの48安打、福留の39安打、井口の38安打、岩村の34安打、松井秀の32安打に次ぐ数字だ。
シーズンが終わった時点でそれがタイトルに結びついたのは、イチローの242安打と打率.350、そして56盗塁だけだが、「投打二刀流」を貫く限り、タイトルの有無は問題ではない。メジャー1年目の日本人打者たちが、総じてシーズン序盤は好結果を残していることを考えれば、すでに本塁打数や長打率で他を圧倒し、打率や安打数でも「いい勝負」をしている大谷は、「打者単体」で考えても、日本人メジャーリーガー過去最高と言えるスタートを切っている。
ナガオ勝司
1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員
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