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「仙ちゃん」と言う仲なのだそうだ。
あの小田和正さんが、仙台の開幕戦で始球式を務めたが、その後のコメントで知った。「投げる前に仙ちゃんのセレモニーがあったから、ジーンと来てしまって、これから投げるということを忘れていました」と小田さん。
1970年のデビューだから、ほぼ半世紀。70歳にして、変わらぬ美しい歌声と楽曲を提供し続け、コンサートでは大会場を縦横無尽に走り回ったりもする小田さん。
「77」と大きく番号が記されたマウンドから、その小柄な身体からは想像できないほど、軽々と強い球をキャプテン嶋基宏へ投げた。予想外だったのだろう。場内からはどよめきが起こった。
東北楽天ゴールデンイーグルスが、仙台でホーム開幕戦を迎えた。今年初めに「仙ちゃん」こと、星野仙一元監督が亡くなり、今季の開幕戦は、チーム全員が「77」の背番号のユニフォームを着用して戦った。
プロ野球の開幕は、いわば「新年」で「あけましておめでとう」の日。そこで追悼するのだから、勇気と覚悟は計り知れない。
始球式の前に、星野さんの追悼セレモニーが行われ、場内の巨大スクリーンに星野さんとまつわる名場面が次々と流れた。スタンドで目頭を抑えるファンもあちこちで見られた。かくいう私も目の前の景色が歪んでしまった。
また、セレモニーで梨田昌孝監督は、マウンドに花束を手向けると、いつものように「お願いします」と星野さんに”挨拶”をしたという。そんな特別なムードのなか、ホーム開幕戦が始まった。
◆岸は「満点」の快投。”一丸”となっていたチームとファン
3連戦のシリーズ対戦相手は、北海道日本ハムファイターズ。こうして場内の空気に重みが増したなか、先発を担ったのは岸孝之だった。岸は星野さんがいなければ、故郷に錦を飾れなかったかもしれない。
星野さんのおかげで、今の楽天の岸はあると言っても過言ではない。岸は試合前から、ただならぬ決意と緊張感を漂わせ、「77」と記されたマウンドへ上がった。
結果、岸はすばらしいピッチングを披露した。8回を投げて、わずか3安打、ギアアップも光った6奪三振。0-0の投手戦で回を追うごとに重みが増すなか、岸は7回と8回に得点圏にランナーを背負うも、抜群の制球力と強いストレートでピンチを切り抜けた。
球場の雰囲気はとんでもない盛り上がり様だった。ファンの反応は、ひとつの「生き物」のように、一球一球に左右されていた。ピンチを切り抜けた時、岸がグラブを叩いて気合いの一声を上げると、球場は揺れんばかりの大歓声に包まれた。
梨田監督はそんな岸について「満点」と評価。ただし、その後は9回に守護神・松井裕樹が登板し、いきなりの連打とミスで満塁のピンチを招くと、4番レアードにタイムリー二塁打を浴びて2失点。
なんとか切り替えて、その後は三者三振で3アウトを奪うも、9回裏にチームが得点をあげることはなく、0-2で楽天は敗戦した。
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