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そうは言っても、高校世代の中でも毎回圧勝できるほどの力の差はない。個人戦では、ライバル校だけでなく、同校対決でも気が抜けない。1学年下の谷岡大后には、春の高校選抜の東北地区予選会決勝で敗れている。しかし、高校世代の争いから抜け出して、先に進みたいという意欲が齋藤にはある。追いかけているのは、先輩にあたる桃田賢斗(NTT東日本)ら世界の頂点を争っている日本A代表の背中だ。だからこそ、日本ランキングサーキットで初戦敗退を喫した際には「高校3年生で、この結果。世界で戦っている選手は、優勝したり上位に入ったりしていたということは、自分でも分かっている。その人たちには、全然、及んでいない。これから少しでも差を縮められるように、結果にもこだわってやっていきたい」と偉大な先輩たちとの比較から、結果を厳しく見つめていた。
春夏6冠なら06年の田児賢一以来16年ぶり2人目の快挙
齋藤駿選手
打倒・齋藤に燃えるライバルとの戦いは、決して楽ではない。しかし、もっと上の世界に突き進むために、負けてはいられない。春の高校選抜を優勝した際、齋藤は「もっと自分を強くするために、どうするか突き詰めたい。インターハイでは圧勝の3冠を目標に頑張りたい」と力強く語った。強打だけでは通用しないことは、百も承知。ペースを乱しに来る相手との駆け引きに勝って、勝利を手繰り寄せなければ、春夏連続の3冠は成し得ない。男子で同一年の全国高校選抜、インターハイで6冠を達成したのは、2006年の田児賢一(当時、埼玉栄高校1、2年生)のみ(※)。大人のプレースタイルを学び、一段階成長した姿をインターハイで証明し、再び3つの金メダルを手中に収めるか、注目だ。
※全国高校選抜は、個人戦が行われない年がある。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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