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だが、久湊だけがノープレッシャーだったわけではない。「初戦は向かって来られるような感じだったし、気持ちで負けないように気を付けていた」と明かした。東京五輪でメダル有力候補だった日本代表が力を発揮しきれなかったように、大舞台で力を出し切ることは決して簡単ではない。また、団体戦の準々決勝で得た反省も生きた。第1ゲームの序盤をリードしたが、逆転負け。追い上げられるプレッシャーに負けて、攻撃に出られなくなった。だから「どんな点差でも思い切って攻める」と決めて個人戦に臨んだ。心技体の最大値を磨くことも大事だが、それを試合で出し切ることもまた重要。見事な優勝だった。
明地陽菜/田口真彩(柳井商工高・2年/1年)
ダブルスは、明地/田口の下級生ペアが優勝。準決勝では、団体戦の決勝で敗れた(※チームとしては勝利)杉山薫/田部真唯(ふたば未来学園高・ともに3年)にストレート勝ちを収めて雪辱。もう一方の準決勝で第1シードの大澤陽奈/石川心菜(青森山田高・3年/2年)を破った古茂田倭子/石橋結子(常総学院高・ともに3年)と決勝で対戦し、相手のパワーにスピードと技術で対抗。珍しい左利き同士、しかも下級生同士というペアで頂点にたどり着いた。前衛で積極的にタッチを狙った1年生の田口が「自分が前に詰めるので後ろが空いて申し訳ない気持ちもあるけど、そうしないと点数が取れない。先輩のカバーを信頼した」と笑うと、明地は「カバーできる分、思い切って行っていいと言っているので、全然良いです」と言って笑みをたたえた。こちらは来季以降も成長が期待できるペアで、高校バドミントン界に新たな注目ペアが誕生した。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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