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全国高校総体(インターハイ)バドミントン競技は、5日に八代トヨオカ地建アリーナで最終日を迎え、男子個人対抗のシングルスは、2年連続準優勝だった奈良岡功大(浪岡/青森)が初優勝を飾った。
学校対抗で準優勝、ダブルスも準決勝で敗退したが、主戦場としてこだわっていたシングルスは、譲らなかった。決勝戦では、地元の大声援を受けて驚異的な粘りを見せた野田統馬(八代東/熊本)と対戦した。奈良岡がラリーで相手を揺さぶり、野田はとにかく攻撃的なプレーを積極的に選択する展開。しかし、要所で奈良岡がポイントを奪った。
第1ゲームの最後は、強打のモーションからネット前へ落とすドロップショット。強打に備えた野田は前進しようとしたが、足を滑らせて返球できなかった。第2ゲームも点差がつかず、中盤では野田がリードする場面もあった。終盤も19-19の同点。しかし、奈良岡は「甘いヘアピン(ネット前からネット前へ短く落とす球)を打てば、必ずヘアピンを返して来る」と相手の返球パターンを読んでいた。ネット前に落としてきた球へダッシュで飛びつき、相手コートへたたき落とした。そして「これでヘアピンは打てないから、速いロブ(頭越しを狙う球)しか来ないだろうと思って、最後は真ん中にスマッシュをぶち込めば勝てるんじゃないかと思った」と話したとおり、最後はスマッシュを決めて21-19。渾身のガッツポーズを見せた。
世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得するなど国際大会で結果を残しているが、インターハイのタイトルがなかっただけに「最後なので、その分、気持ちが強かった。準々決勝までは守りに入っていたけど、最終日は自分から攻めていけたから2試合ともストレートで勝てたと思う」と達成感を示した。
ダブルスは、河村翼、川本拓真(埼玉栄/埼玉)が初優勝を飾った。準決勝では、野田統馬、浦隆斗(八代東/熊本)と対戦。真後ろから相手の大声援を受けた第1ゲームは雰囲気に飲み込まれたが、第2ゲームから逆襲した。
河村は「コートチェンジをしたら、自分たちの応援もいるのが見えて安心できた」と振り返った。中島巧、杉本一樹(瓊浦/長崎)と対戦した決勝戦では、川本が積極的にネット前へ出て勝負。押された相手が返した球を河村が強打して得点を重ねた。川本は「春の全国高校選抜も優勝できなくて、今回の団体戦も負けた。決勝の相手には春に負けていたので、リベンジできて嬉しい。前回は先に前に入られたけど、今回は先に入って持ち味の攻撃が生かせた」と手ごたえを語った。
応援団にあいさつをした際に声を震わせていた河村は「団体戦で負けて申し訳ないと思っていた。最後は自分たちしか残っていなくて、みんなが応援してくれていた。感謝の気持ちで泣きそうになった」とチームに感謝。控えエリアに戻ってコーチ陣と喜びを分かち合うと、涙を流した。コート内だけでなく、スタンドでも熱い戦いを見せた高校生たちの夏は、大会に訪れた多くの人の心に残るだろう。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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